観光を入口に育む関係人口づくり / 峰尾亮平さん(江田島市)

“ また来たい” が “また会いたい”に変わる仕掛けづくり
江田島では、毎年約500人ずつ人口が減少し、農漁業や手仕事などの地域文化の継承が大きな課題となっています。こうした背景から、島内事業者とともに「江田島エコツーリズム協議会」を立ち上げ、オリーブの収穫やまちあるきツアー、醤油蔵の見学など、年間 15 本を超える体験プログラムを展開。来島者が生産者の声に触れ、島の暮らしを実感することで、通販や再訪を通じて江田島のファンとなり、地域経済にも貢献しています。
2024 年には、島の魅力をさらに深く伝える交流企画として「島ラボ」がスタート。関心をもった住民や広島市内の参加者、行政職員などが夕食を囲んで語り合う場を定期的に開催しています。毎回およそ 30 人が集まり、そのうち約 2 割は市外からの参加者。これまで延べ 350 名近くが参加し、対話を通じて小さな協働が生まれ、地域に新たなつながりと動きが芽生え始めています。
\ 活動理由 /
島の営みを 100 年先へ手渡すために
私が植えたオリーブの木は将来、世話をしてくれる人がいなければ、その価値を未来へつなげられません。漁業や里山の仕事も同じで、担い手が途切れれば技術も文化も瞬く間に失われてしまいます。人口減が続く今、島の力だけでこれらを守り切るのは困難です。だからこそ、島内外を問わず江田島を「好き」と言ってくれる仲間を増やすことが不可欠だと考えています。観光体験を入口に生産者の素顔や思いに触れ、次は友人を連れて再訪し、季節が変われば通販で島の味を取り寄せる。そんな循環が暮らしと産業の活力になります。「島ラボ」はその “ 次の一歩 ” として、島のファンが集まり、地域内外のつながりを生み出し、やりたいことを語り合える場にしたいと考えています。関係人口という縁を幹に、移住にとどまらず新たな挑戦が枝葉のように伸び広がる循環をつくることこそ、私の使命だと思っています。
\ 継続するための工夫 /
ゆるく、長く、確実に 「江田島スタイルの持続可能な交流モデル」
江田島エコツーリズム協議会では、参加事業者が体験料だけでなく自社商品の販売につなげられることを目標に取り組んでいます。島ラボでは運営コストを極力抑え、参加費の範囲で運営をまかなう仕組みにしました。広報は主に SNS を活用し、価値観の近い人にピンポイントで届くようにしています。また、毎回テーマやゲストを変えて多様な参加者を呼び込み、新しい視点とアイデアが交差する場を保つことを心がけています。
\ 今後の展望 /
「いつでも何か体験できる」島にすることを目指して
江田島エコツーリズム協議会としては、島に訪れる方が「いつでも何か体験できる」島にすることを目指しています。体験プログラムをさらに充実させ、オンラインでの予約などが一括で行えるプラットフォームを整備したいと考えております。島ラボでは、参加者が多様な交流を通じて新たな協働を生み出す場を継続的に提供し、地域のコミュニティを更に活性化させていくことを目指しています。これらの取組を通じて、江田島の持続可能な未来を築いていきたいです。
峰尾さんとともに活動する人々 (関係人口)
地域内の事業者/観光関連事業者
一次産業に関わる事業者、飲食店、クラフトビール醸造所などと連携し、収穫体験や工場見学などの体験プログラムを実施しています。
住民
「島ラボ」には島内外の参加者が集い、夕食を囲みながらざっくばらんに語り合う交流の場を設けています。参加者同士の紹介や相談を通じて、小さな協働や継続的なつながりが少しずつ生まれています。
江田島市
市役所職員や市議会議員にもイベントに参加いただき、地域の施策や課題に関する最新の情報を共有してもらっています。