上下町の暮らしと未来をつくる / 守本 祐子さん(府中市上下町)

町並みを守り、歴史・文化を未来につなぐ
広島県府中市上下町は、江戸時代の天領として栄えた歴史を持ち、今も美しい町並みが残る地域です。「一般社団法人 天領上下まちづくりの会」は、この町並みを守り生かすため、地域住民や事業者によって設立されました。活動は、町並みの保存や府中市上下歴史文化資料館の指定管理や、上下駅舎や翁座に関わる業務受託なども受け、地域の玄関口としての役割を果たしています。また商店街に並ぶ約 80 軒の店舗の利活用にも取り組みながら、若い世代が自然に関わっていける仕組みづくりを進めています。
観光の分野では、イギリスとの繋がりを持つ旅行会社と連携し、剣道体験や町歩き、学校訪問を含む外国人向けツアーを実施。地域住民と旅行者が交流できる仕組みづくりを進めています。ツアーの実施回数は、初期に 6 回程度、2025 年度は 25 回程度実施予定です。
\ 活動理由 /
商いが町並みを守る力になる
私たちの原点は、「生きている町並み」を未来へ残すことです。上下町の歴史的景観を観光用の背景としてではなく、暮らしと商いが続く場として維持・再生したいと考えています。空き店舗や担い手不足が進む中でも、住民が誇りを持ち、外から訪れる人や専門家と知恵と情報を共有することで地域の価値を再発見し、小さな経済循環と交流を育てていきたいと考えています。こうした積み重ねを通じて、世代を超えて受け継がれる持続可能なコミュニティを築いていけると信じています。
\ 継続するための工夫 /
主体的に地域づくりが行える環境づくり
私たちは約 1.5 ヶ月に 1 回の頻度で定期会合を開き、地域課題を共有しながら地域づくりを進めています。意見だけで終わらず、主体的に動くことができる多様なメンバーが社団法人に集まり、役割を分け合いながら次の世代へバトンを渡せるようにしています。地域への愛情と絆が、継続的なまちづくりの基盤だと考えています。
\ 今後の展望 /
“ 生きた町並み ” を、 次の世代へ
歴史的建物や商店街の資源を生かしながら、空き店舗活用や小さな商いの再生を少しずつ広げていきたいと考えています。若い世代が一定の収入を得ながら地域運営に関われる形を模索し、業務受託・観光造成ツアーなど複数の収益機会を組み合わせる方向で検討を進めています。地域内外の連携を深めつつ、「生きた町並み」を次の世代へ手渡せる状態を目指していきます。
守本さんとともに活動する人々 (関係人口)
上下の町並みを愛する会
町並み維持や空き店舗の利活用、地域イベント参画、来訪者対応まで現場で支えてくださる住民主体のパートナーです。
上下町出身の経営者 (都市部)
空き家貸し出しや運営ノウハウの提供など、地域づくりを実践面で支えてくださっています。
日本への個人旅行やグループツアーを提供する
日本専門の旅行会社
海外の方向けに上下町の地域資源を活用し、ツアー造成・販売などを行っています。